糸魚川ジオステーション ジオパルのキハ52を訪問する

こんにちは。北陸の食パンです。

もうそろそろ梅雨の時期に差し掛かっております。近年の梅雨は雨降るときと降らない時で極端になってきておりますけれども、梅雨過ぎの夏本番に備えて、身体のコンディションを整えたいと思います。

さて、今回は鉄道関係になりますけれども、前々からずっと行ってみたかった「糸魚川ジオステーション ジオパル」のキハ52を見に行くために、糸魚川駅に行ってみました。

もう半年以上の前の話ですけどね。

糸魚川ジオステーション ジオパル初訪問

ときは2021年11月上旬のこと、急遽緊急の用事で自宅から富山までかっ飛ばした帰りに寄り道することとし、その第一弾として糸魚川に寄ることとした。

かなり久しぶりの糸魚川駅であるが、北陸新幹線開業後に寄ったのは実は初めて。(最後に通過したときから換算しても2014年2月以来の話である)

新潟のほぼ最西端の要所もだいぶ様変わりしてしまった感がある。

駅のロータリー(アルプス口)の近くに、かつての糸魚川のシンボルであり鉄道ファンにはなじみの深いものでもあったレンガ車庫の3連アーチが再建築された。(アルプス口は北陸新幹線開業直前にできた新しい出入り口で、昔は現在の日本海口しかなかった)

糸魚川駅は、新潟県の鉄道のほぼ最西端の要所ともいえ

  • 北陸新幹線
  • えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン(かつての北陸本線)
  • 大糸線

の3路線が通っている。

かつての糸魚川は、新潟県でも(東京から見て)近くて遠い場所とも言えたが、2015年に北陸新幹線が開業してから、東京からダイレクトに行けるようになり、日帰り観光が余裕でできるレベルにまで近くなった。

これは糸魚川のみならず、富山・金沢なども同じことが言える。

さて、以前から気になっていたが、なかなか足取りが重く行く機会がなかった糸魚川ジオステーション ジオパルにいるキハ52を見に行くこととしよう。

待合室として余生を送るキハ52 156

糸魚川ジオステーション ジオパルには、かつて大糸線で走っていたキハ52 156が保存されている。

さて、少しばかりキハ52形の紹介をしてみたい。

キハ52形は、国鉄キハ20形系列の一つで、キハ20形をベースにエンジンを2基搭載した勾配区間用気動車として製造された形式である。国鉄の2基エンジン搭載気動車としては最初の両運転台車であり、本州・四国・九州各地で活躍していた。

JRになった後もJR北海道・JR東海を除く各社に引き継がれたが、平成前期までにJR九州・四国からは撤退し、盛岡地区や新潟地区が主な活躍場所となっていたJR東日本からは2009年に引退、そして最後の牙城となった大糸線を有するJR西日本からも2010年に引退した。

JR西日本では大糸線のほか、北陸地区の各ローカル線、山陰地方が主な活躍場所であった。

こちらがキハ52 156である。通常はこのようにしまわれているが、線路が外側に伸びており、特定日(第2・4日曜日とその他指定日)には外に出せるようになっている。

定期的に保守していることもあってか結構きれいな状態である。

キハ52形の最後の牙城がこの糸魚川を発着していた大糸線であった。晩年はこのキハ52 156を含む3両が活躍していた。他に、キハ52 115とキハ52 125がいた。(さらに前には大糸線用でもう2両いたが、早々と廃車になっている)

なお、このキハ52 156は、キハ52形のラストナンバーである。

大糸線で最後まで活躍していた3両は、引退後すべて現存しており、キハ52 156以外はどうなったかというと・・・

  • キハ52 115→津山まなびの鉄道館で保存
  • キハ52 125→いすみ鉄道で今も活躍中

である。普通であれば1両残してあとは解体される流れになるはずが、すべて生き残るという奇跡が起きている。

これは余談であるが、新潟県の東側(新津・新潟地区)でも2009年まで活躍しており、JRにおけるキハ52の最後の舞台は、新潟県が中心の舞台であった。(JR西日本車は大糸線、JR東日本車は信越線、白新線、羽越線、磐越西線、米坂線で活躍していた)

それでは、キハ52 156の車内を見ていこう。

キハ52 156の車内全景である。引退当時の面影をそのままにして残しているのが特徴である。

乗降口付近には整理券発行機が備え付けられている。これは、ワンマン運転を行っていたからである。ちなみに、ワンマン改造当初は越美北線で活躍していたが、その後大糸線に活躍の舞台を移している。

待合室として開放されているので座席に座るのは自由であるが、車内は飲食禁止なので、飲食は車外でするようにしましょう。

なお、保存されているキハ52で車内に入れるのは唯一ここだけである。(津山にいるキハ52 115は車内見学できない)

キハ52 156の南小谷方車端部の様子である。前に運賃箱が設置されている。

運賃表に貼られている2号車は、名実最後の列車として充当された臨時快速「ジオパーク」で運行していたときの名残である。

こちらの乗務員室寄りには座席(ロングシート)がある。(運転席側後ろは機器設置のため、少し短くなっている)

キハ52 156の南小谷方運転台の様子。中に立ち入ることはできないものの、引退当時のままの状態を保っている。

そして、ワンマン区間にだいたい貼ってある運賃表もそのまま残されている。運賃表に書いてある区間は大糸線のJR西日本区間のみで、JR東日本区間や北陸本線などの運賃表は貼られていない。

車内の窓のところどころにキハ52現役当時の写真が貼られている。

通常は単行運転であったが、イベント・多客時の際は2〜3両で運行されてた時もあった。

大糸線のキハ52は、冷房化されており、他地区のキハ52と比べると設備面では勝っていた。(他地区のキハ52は基本的に非冷房であった)

もちろん、新造当時から冷房があるわけではなく、ワンマン改造の際に冷房を設置された。

そして、新造当時からある扇風機。古い車両の必須アイテムの一つであった。

この令和の世の中で扇風機を装備している車両が走っているところはそうそう多くないはず。

車内の各所には温度計が設置されている。これも昔の車両らしい特徴である。

温度計の下には扇風機のスイッチがあり、赤が「入」、白が「切」の状態である。今の車両の冷房は乗務員室にスイッチがあって、自動制御できるようになっているが、古い車両の扇風機は客室内の各所にこういったスイッチが設置されていた。

上着掛け(帽子掛け)の下に座席表示が貼られているが、これは臨時列車の指定席の取り扱いの時に便宜上貼ったものである。

ところで、温度計の(ネ)と書いてある範囲がなんか気になるね。なんだろ?

キハ52 156の糸魚川方車端部の様子である。

南小谷方と異なり、座席が全くないのが特徴である。完全に立席スペースである。

元々は座席やトイレ(右側の小窓の部分)があったが、ワンマン改造の際に撤去されている。晩年に大糸線にいたキハ52のうちキハ52 156のみ元トイレだった部分が小窓になっている。(ほかは大窓)

キハ52 156の糸魚川方の乗務員室の先にはモニターが設置されており、大糸線の前面展望動画が流れている。また、それと連動して当時の車内放送が流れたりしているのだ。

ちなみに、その先に見えるのは糸魚川駅のホームである。

続いて座席を写してみる。まずはクロスシート部分から。

いかにも昔の車両らしい直角型のシートである。この形のシートがある車両は全国的に見ればまだ走っているが、10年〜15年前と比べると大きく数を減らしている。

このシートを見るとなぜか和むし懐かしさを感じる。

そして、ロングシート部。座面がフカフカの仕様になっている。最近の車両はバケットシートが主流なだけあって、この座席を見るだけでも今では懐かしさ以外に勝るものはない。

クロスシートを横から撮ったもの。この角度から見ても懐かしさしか感じない。

さて、左右のクロスシートであるが、微妙に長さが違うのがおわかりいただけるだろうか?

ちなみに、下の窓枠の下に栓抜きがある。(写真を拡大して見つけてみましょう!)

乗降扉部分。ステップがあるのが特徴である。また、扉の塗りドアも古い車両ならではの証である。

大糸線での運用時は半自動ドアとなっており、扉の取っ手を開け閉めして乗降していた。

旅客への注意書き。わいが大糸線のキハ52に乗った時(2009年8月)は貼られていた記憶がないが、おそらく定期列車撤退前か、臨時列車に充当されるときに貼られたものと推測される。

ジオラマや展示品などもある

さっきまではメインのキハ52 156を取り上げてきたが、その横にあるジオラマ・展示スペースをここでは取り上げる。

一角にまあまあ規模が大きいプラレールのレイアウトが置いてあった。

私鉄・JR問わず色々な列車があった。また、ところどころある高い部分には色々な車両が飾られていた。

一角にヨーロッパの鉄道模型が飾られている。大半が、ドイツのメルクリンから出しているものらしい。

今度は本格的な鉄道レイアウト(ジオラマ)を見てみることに。

この辺りは大糸線の小滝駅周辺のあたりを再現していると思われる。

先ほどの写真の山を越えると街が見えてくる。そこにキハ52や475系などがいた。また、糸魚川駅のレンガ車庫も再現されている。線路の幅を見るとHOゲージのようである。

一見、糞真面目なレイアウトに見えるが、煙突がある家にサンタが落っこちそうになってるシーンがあったりするw

一角には駅名標やサボ、乗車目標などや、JRの優等列車や新潟県ゆかりの列車などの鉄道模型が展示されている。また、本棚もあり、そこには各種鉄道雑誌が置かれている。

一角には売店もあり、キハ52やトワイライトエクスプレスなどが入ったグッズの販売を行っている。

そして、ジオラマで一番規模がでかいNゲージのレイアウトがある。糸魚川周辺の街並みを再現しており、駅は現在の糸魚川駅をベースにしている。

なお、有料にはなるがNゲージ運転体験も可能となっている。また、車両の持ち込みも可能であり、持ち込みの場合は安い料金で運転できる。

ここにもHOゲージレイアウトと同じく、煙突がある家にサンタが落っこちそうになってるシーンがあったりするw

こちらの一角には、新幹線・国鉄型特急車両・私鉄などといったNゲージの鉄道模型が飾られていた。

こちらは、糸魚川周辺で走っている(もしくは走っていた)新旧列車がラインナップされている。

さきほどのNゲージレイアウトの逆側の様子がこちら。こちらは大都会になっている。どこらへんがモデルになってるか見るのを忘れてしまったw

一角には、JRの券売機(食券買ったりするようなのと同様のタイプ)が置かれていた。ボタンに書いてあった内容から察するに、梶屋敷駅(糸魚川駅の1つ先)で使っていたものと思われる。

なお、当然ながら展示されているだけで実際に動いているわけではないので注意されたい。

大糸線のキハ52の定期運用撤退後に運転された臨時列車のヘッドマークだが、本物ではなく、デザインを印刷して貼りつけたレプリカだと思われる。

キハ52 156の説明板も設置されている。説明板を見ると、時期により活躍路線が変わっているものの一生を北陸地区で過ごしたことが伺える。

晩年は、他の大糸線のキハ52と同じようにリバイバルカラーが施され、キハ52 156は朱色一色の「首都圏色」を纏った。2010年に引退した後は、しばらくの間金沢総合車両所にて保管され、修繕・塗装変更を経て2014年に現在の「国鉄一般色」の姿でこの糸魚川ジオステーション ジオパルにやってきたのである。

当初は、大糸線でイベント列車として復活させる構想もあったが、紆余曲折を経て、現在の静態保存という形に落ち着いた。

キハ52の横にはトワイライトエクスプレスの車掌の制服をまとったマネキンが飾られている。トワイライトエクスプレスに乗務する車掌は通常とは異なる制服で乗務していた。

左は夏服、右は秋〜春用の3シーズン着る制服である。

しかし、なぜトワイライトエクスプレスの車掌の制服が展示されているのか。そのあたりの謎がこれから明らかになる。

トワイライトエクスプレスのモックアップ

キハ52の隣に、寝台特急トワイライトエクスプレスを再現したモックアップが展示されている。トワイライトエクスプレスとは、大阪〜札幌間を日本海縦貫線経由で結んだ臨時の寝台特急列車で、寝台列車ではかなりの豪華列車とも言われ、登場から廃止まで憧れの存在でもあった。

もちろん寝台特急トワイライトエクスプレスはこの糸魚川駅も通っていた。(ただし、客扱いはなく通過のみであった)

わいも一度乗りたかったが、結局叶わなかった・・・。(札幌発着の寝台特急だと北斗星はあるんですけどね)

なお、トワイライトエクスプレスの名前自体は、JR西日本の周遊型寝台列車である「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」に引き継がれている。

こちらが、トワイライトエクスプレスを再現したモックアップ。スロネフ25形500番台(展望スイート)の戦闘部分を再現している。下のジャンパ栓や連結器は本物ではなく印刷となっている。

車体は全て糸魚川産の杉を使用して制作している。地産のこだわりである。

それでは中を見て見ることにしよう。

線路側の方は、食堂車(「ダイナープレヤデス」)が再現されている。テーブル・椅子・照明類は本物(廃車発生品)を使用している。

なお、計画当時は市内の飲食店が提供する食事も食べられる予定となっていたが、今の所そのような様子は見られない。(あるいはコロナの影響で中止してるかどちらかである)

テーブルの傍らには食堂車のメニューが置かれている。当時を懐かしむor当時を知るには貴重な資料だと思う。

厨房部分はレプリカで、木製で再現されている。お子様がままごと遊びするという観点からすると喜びそうではある。

先頭部分にはトワイライトエクスプレスのスイートに設置していたソファとテーブル(もちろん本物)が設置されている。ソファはエキストラベッドにもできる仕様となっていた。

もちろん座ることも可能で、現役に乗車できなかった人でもここで感触を味わうことができる。

(おまけ)北陸新幹線開業前の糸魚川駅構内で撮影した写真

おまけ程度であるが、北陸新幹線開業前の糸魚川駅構内で撮影した写真をいくらか掲載してみようと思う。

現役当時のキハ52 156。朱色一色で活躍していたときのもの。夕刻になると区間列車として平岩発着の列車も設定されていた。(今も朝夕に存在している。)

大糸線は切り欠きホームの4番線を使用している。

糸魚川に停車中の419系電車。糸魚川に行くときはよくこの電車に世話になった。

475系電車。今では遠い昔にいた電車としか思えなくなってしまった。

現役当時の糸魚川駅のレンガ車庫。ここがキハ52やディーゼル機関車の拠点となっていた。

当初はすべて保存という話もあったが、結局断念し、一部のみ保存という形となり、アルプス口に設置された。

傍らに留置されているキハ52 156とレンガ車庫から顔を出すキハ52 125。


というわけで、今回は「糸魚川ジオステーション ジオパル」のキハ52とその他について取り上げて見ました。

かつて何度か乗ったキハ52の車内に入れると思ってなかったので懐かしさを感じました。もう十ウン年前の話ですか。まあ、それだけ歳をとった証拠です。いやでも理解らされたってことですw

今度は糸魚川をちょっと観光したいですね。いつも通過してばっかりだったので・・・。もちろんキハ52も見にいきます。

また、近いうちに別の場所の鉄道ネタも書ければと思います。(まあ、ヒントはこの記事内にあるのでバレバレっすなw)


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