こんにちは。北陸の食パンです。
2020年もあと1週間ほどで幕を閉じ、2021年の足音が聞こえつつあります。このところ寒波で寒い日々が続いており、特に日本海側では例年よりも大雪に見舞われ交通障害が発生するなどしておりますが、今年も最後まで事故等なく過ごせることお祈りいたします。
さて、今回は久々に列車関係をブログにて取り上げます。まもなく乗れなくなるであろう列車シリーズ第一弾ということで、JR東日本最後のお座敷電車である「華」についてとりあげたいと思います。
壱:お座敷電車「華」概要
ここでは、今回取り上げる車両であるお座敷電車「華」について簡単に解説します。
この「華」は、1997年に485系電車を改造(車体は新規製造で、床下機器と走行装置は485系電車で使っていたものを流用)して登場したジョイフルトレインと呼ばれる電車の一つです。当時の団体車両はお座敷列車の需要がたいへん高く、首都圏にはこの「華」のほかにも・・・
- 江戸(客車)
- なごやか(客車)
- 宴(電車)
の3編成の和式車両が活躍していましたが、特に客車編成の方は老朽化に加えて、機関車による牽引となることから速度面で電車に劣り、特に首都圏での運行ではダイヤ作成上の障害となっていたために、この「華」は「なごやか」の後継車両という位置付けでデビューしました。
首都圏以外では、さきほどあげた3編成のほかにも「やまなみ」や「せせらぎ」などといったお座敷電車もありました。(客車編成や気動車編成に関しては東北・信越地方も含め他にもたくさんありました。あげるときりがないのでここでは省略させていただきますが・・・)
2019年2月に「宴」が引退したため、この「華」が事実上最後のお座敷電車となりました。
この列車は6両編成で、全ての車両がグリーン車扱いとなっています。車内は「掘り炬燵」式のお座敷仕様とし、楽に腰掛けることができることで誰にでも快適な列車の旅が楽しめるようになっているのが特徴です。
コンセプト・デザインは、『心やわらぎ、楽しめる空間の提供』をコンセプトとし、車体外観についても角のないやわらかさを強調したデザインとなっています。
基本的には団体専用の車両として運行されますが、観光シーズン(いわゆる繁忙期)には、JR東日本管内の臨時お座敷快速電車として運転され、指定券が一般販売されることがあります。
たいした写真ではありませんが、わいが初めて「華」に乗車したときに撮影したものです。丸みを帯びた紫色の車体に桃色の帯を纏っているのが外観上の特徴となっています。
弐:お座敷電車「華」車内
それでは、実際にお座敷電車「華」の車内に入ってみましょう。
こちらが先頭車の車内になります。客室は木目調でシンプルなデザインとし、長時間の乗車でも快適に過ごせるように掘り炬燵構造が採用されていますが、目的に応じて床をフルフラットにすることが可能なように、昇降装置(机の下の掘り炬燵になっている部分の床が該当)が内蔵されています。
普通の電車と異なり、天井が高い構造になっているほか、電車の窓自体も大きなものになっているため、開放的な雰囲気になっているのがおわかりいただけると思います。
なお、通路と座敷は明確に分離されていませんが、(事実上の)通路側には窓下に上蓋式の荷物入れを設け、上蓋は腰掛けることが可能な構造となっているのが特徴です。
デッキ部分は、土足で歩けますが、この畳敷きの客室に関しては当然ながら土足厳禁となっております。つまり、靴を脱いであがることになるわけですね。そのような特性上、利用者は一度靴を脱いだら他の車両への移動も靴を脱いだままで可能とするように配慮され、このため畳の下にスライド式下足入れが設置されています。
また、下駄箱やスリッパも各車両に設置されています。
こちらが中間車の車内です。お座敷部分の設備的には先頭車と差異はありませんが、デッキ部分の設備の都合上、偶数号車( 2・4号車)と奇数号車(3・5号車)の定員のみ異なります。
お座敷部分のテーブルと座椅子です。基本的には6人掛け区画を基本としていますが、3・5号車のみ8人掛け区画となっている箇所があります。
一応、座席定員に関しては1・2・4・6号車は、24名で、8人掛けの区画を有する3・5号車は4名多い28名となっています。すなわち、全座席定員は152名になります。
このお座敷のテーブル・座椅子区画を見るについつい宴会したくなるような雰囲気ですね。てか、もともと団体専用車両という関係上、そういう用途で作られているといえばそれはそうなのですが・・・。
なお、2019年に2回乗った時は、宴会させていただきましたw(1回目は一人で、2回目は家族と)
(事実上の)通路側にあるに上蓋式の荷物入れ部分をアップで写したものです。上に開く方式となっており、開けるときは空洞となっている取っ手部分に手をかける方式になっています。写真のように開放状態のままにしておくことも可能です。
なお、開けるときは、上蓋の内側に強力なマグネットがついている関係上、少々力を入れて開ける必要があります。閉めるときは、蓋を一旦上に引き上げてから閉める形になっています。
前述の通り、荷物入れの上蓋は着席可能な構造となっているため、窓際に座りながら車窓を眺めるというのもまた一興だと思います。
先頭車の乗務員室後ろには、「展望室」という名のフリースペースとなっており、3人掛けのロングシート(ソファー)が向かい合わせに設けられています。
ロングシート(ソファー)の窓も大きいですが、乗務員室との仕切りは前面展望視界を確保するため大型ガラス構造となっているのが特徴です。前面展望が好きな方はこちらまで行ってパノラミックな展望走行シーンを楽しんでみてはいかがですか?
「展望室」のロングシート(ソファー)のアップです。このロングシート(ソファー)は、先頭車である1・6号車の他にも3・5号車にも「休憩スペース」という形で同じものが設けられています。
各車両に設置されているものの一つ目として電気ポットが設けられております。これは団体専用で運行されるときに限り使用でき、臨時快速電車で運行される際は使うことができません。
各車両に設置されているものの二つ目として、オートチェンジャー・ワイヤレスマイク・リモコン選曲式のカラオケ装置(JOYSOUND)が設置されています。各車独立操作ができるタイプになっています。
これも当然団体専用で運行されるときに限り使用でき、臨時快速電車で運行される際は使うことができません。
各車両に設置されているものの三つ目として、冷蔵庫が設置されています。こちらも前述の電気ポットとカラオケ装置と同様に、団体専用で運行されるときに限り使用でき、臨時快速電車で運行される際は使うことができません。
冷蔵庫についてはこのようなタイプもありました。4号車にあったものです。
2・4号車には、コの字型にソファーを配した「ミーティングスペース」があります。そこには、インターフォン(内線電話)やテーブルもあり、団体旅行の幹事さんの打ち合わせスペースや歓談の場として使う想定で設けられているようです。
その他の設備として・・・
【トイレ】トイレは1号車・3号車・6号車に設置されており、いずれも洋式個室・男性用トイレ・洗面室で構成されています。
【クローゼット】2〜4号車に設置されています。
【荷物収納庫】2・4号車に設置されています。
【更衣室】5号車に設置されています。
【下駄箱】各車両乗降口寄りのデッキの客室入口付近に設置されています。(スリッパもあります)
お座敷電車「華」のロゴマークです。和風っぽいフォントの文字の下にはお座敷電車であることを示す「OZASIKI」の文字と485系電車であることを示す「485」という数字が記されています。
参:お座敷電車「華」に乗るには?
基本的にこの電車は、前述の通り団体専用の車両扱いなので、団体でないと乗ることができません。しかし、JR東日本管内の臨時お座敷快速電車で運行される場合に限り、団体でなくとも乗れる場合があります。
ここでは、お座敷電車「華」に乗る方法を解説したいと思います。
【団体申し込みで電車自体を貸し切る】
元々のコンセプトからするとこういう方法が考えられますが、貸切料金が高いことと人数をそれなりに集めないといけないのがデメリットとしてあげられます。
また、この方法で貸し切るにしても直接JR東日本の支社や駅に申し込むこともできなくはありませんが、基本的には旅行会社経由でJR東日本に貸切に申請を出す形になります。
いずれにしても寄せ集めの団体に貸し出しの手配をすること自体諸々ハードルが高い案件ですので、あまり現実的ではないでしょう。法人で貸し切るのであればまた別でしょうが・・・。
【旅行会社のツアーを利用する】
一般人でも乗れるハードルが下がる案件として、旅行会社のツアーを利用するという手があります。
時折、旅行会社がこの電車を使ったツアーを出していることがあり、それに申し込みさえすれば確実に乗れます。それでも、ツアーを利用する関係上、1万円以上することは覚悟しておくべきでしょう。値段などを気にしないというのであれば、乗車するという面では一番最適な選択と言えます。
【臨時お座敷快速電車で乗る】
この電車に確実に乗るという点で、一番ハードルが低いと言えるのは、JR東日本管内の臨時お座敷快速電車に乗るということです。臨時お座敷快速電車での運行に関しては、時刻表の臨時列車運転案内に「お座敷」と頭についている(例:お座敷奥多摩川崎号)ほか、お座敷電車で運転という表記がありますので、それで識別することができます。
JR東日本管内の臨時お座敷快速電車については、八王子支社管内で設定されていることが多いようです。(他の支社でも設定されることがありますが、あまりみません)
乗車料金は、運賃のほか、50kmまでなら780円で乗ることができます。(距離によってグリーン料金は変わります)
そういう点では、かなりリーズナブルではありますが、やはり人気列車ということもあり、臨時お座敷快速電車の切符を取ることは容易ではありません。みどりの窓口に行って1ヶ月前に10時打ちで狙うか、えきねっとの事前予約で狙うかのいずれかが手っ取り早い選択になります。
また、座席配置の関係上相席になる確率が非常に高いのでその点は覚悟しておいた方が良いでしょう。乗車当日、当人同士で座席交換するなどする必要があります。
ちなみに、2020年現在は新型コロナウイルス感染拡大防止策に伴い、通常よりも座席数を減らして運行しているとのことで、さらに気軽に乗車するという意味ではハードルが上がってしまいました。
四:お座敷電車「華」の座席表
参考までにお座敷電車「華」の座席表をここに掲載します(ただいま準備中)
ということで、まもなく乗れなくなるであろう列車シリーズ第一弾、JR東日本最後のお座敷電車「華」を取り上げてみました。今年はコロナ禍で乗り鉄の意欲もだだ下がりしてしまったため、乗ることは叶いませんでしたが、来年以降また機会を見つけて乗りたいものです。
ちなみに、このシリーズは年が変わって来月に第二弾をお送りする予定です。あまり過度な期待はせずにお待ちくださいね。