【西武池袋線・秩父線からまもなく引退】平成の西武特急ニューレッドアローに乗ってみよう

こんにちは。北陸の食パンです。

さて、今回は先日記事にした「西武の新型特急Laview」に置き換えられる運命にあり、西武特急の代名詞ともいえるレッドアロー号として親しまれている10000系特急電車(ニューレッドアロー。略してNRA)にスポットを当てていきたいと思います。

前説:10000系ニューレッドアローについて

現在の西武特急の代名詞ともいえる10000系特急電車は、1993年に新宿線に新たに運行される「特急小江戸号」に投入するために登場した電車である。

翌年の1994年からは、西武池袋線・西武秩父線で走っていた初代レッドアローこと5000系特急電車の置き換えを開始、1995年までに初代レッドアローは全車引退し、すべて10000系特急電車(ニューレッドアロー。以下NRAと表記する)となった。

この電車は、製造・保守面での合理化・経費削減・平準化・走行の安定化を目的に101系・新501系・5000系の機器類が流用されている。

5000系特急電車は6両編成であったが、10000系特急電車は1両増やして7両編成となった。

当初は7両編成が11本という陣容であったが、新宿線の特急増発に絡み、2003年に仕様を変更した10000系特急電車が1本製造された。

この仕様変更車は、制御装置を20000系に準じたIGBT素子によるVVVFインバータ制御へ変更、また制動システムもされているが、従来の10000系に装備されていた抑速ブレーキが装備されなかったため、基本的に新宿線専用とされている。(ただし、2007年に吾野・正丸の2変電所へ環境配慮型蓄電装置を導入したことで、回生ブレーキ装備車が同区間を恒常的に走行することも可能となった。実際に2011年に一時期池袋線で活躍してたことがある。)

また、従来車では前面愛称表示および側面行先表示が幕式であったが、仕様変更車ではLED式に変更されている。

2003年から2008年にかけて、従来から走ってた11本に対して、更新工事を施工。仕様変更車(最終編成)と同じ内装になった。

ちなみに、運行当初は真ん中の4号車が喫煙車となっていたが、2006年10月より、全車禁煙化されている。

現在の10000系特急電車の運行区間としては、

  • ちちぶ(池袋~西武秩父間)
  • むさし(池袋~飯能間)
  • ドーム(池袋~西武球場前間。臨時列車)
  • 小江戸(西武新宿~本川越間)

の4種類となっている。

また、その他各種臨時列車としても使用されており、拝島ライナーの前身とも言える拝島線臨時特急(2011~2013年にかけて期間限定で運転)にも使われた実績がある。

10000系電車の今後については、西武池袋線・西武秩父線に関しては001系Laviewへの全車置き換えが決定しており、2019年度末までに置き換えが完了する予定となっている。

新宿線に関しては、当面残る見込みと思われる。

写真は西武池袋線を走る10000系電車(NRA)。西武池袋線・西武秩父線に関しては2019年度までにた西武鉄道001系こと「Laview(ラビュー)」に置き換えられる。

壱:10000系ニューレッドアローの車内および設備のご案内

それでは、ここからが本題です。

平成の西武特急の代名詞と言える10000系電車(NRA)の車内や設備を御覧いただきましょう。

デッキについて

10000系電車(NRA)に乗った時に初めて目にするエントランスをみていきたいと思います。

デッキはこんな感じです。車内更新工事後は、青色をベースにしたものとなっています。人によってはちょっと暗いと思うかもしれません。

また、Laviewに比べるとだいぶ狭い印象を受けます。

乗降時は詰め込みがきかないので、特に降りるときは渋滞しがちになります。

ドア上には最終編成に実装された開くドアの案内表示板が設置されております。最終編成以外には、車内更新工事の際に設置されております。

この案内表示板には現在いる車両の位置と開くドアが緑色のランプで表示されます。

開くドアの反対側のドアに関しては、「このドアは開きません」というランプが点滅表示する仕組みになっています。(写真の白くなってる部分がそれです)

ちなみに、10000系電車(NRA)のドアは・・・

  • 全号車のドアが開く
  • 1・3・5・7号車のドアが開く(ただし、1号車は乗務員室よりのドアのみ開く)
  • 1・7号車のドアが開く(現在では取扱なし)

といった感じに、乗務員室にあるスイッチで、ドアが開く車両を切り替えることができます。

現在では、一部のドアのみ開く取扱をしているのが、狭山市駅のみとなっています。特急小江戸号の下り列車で1・3・5・7号車のドアが開く取扱を行っております。(特急券回収・精算の都合による)

過去には、西武新宿駅で乗車時に「1・7号車のドアが開く」取扱→「1・3・5・7号車のドアが開く」取扱をやってたり、高田馬場駅でも「1・3・5・7号車のドアが開く」取扱を行っていましたが、現在の両駅では全ドアが開く取扱となっております。

これは、主に夕刻時における特急券拝見作業を行うための措置によるものでした。

開くドアの案内表示板が使用されているときの様子がこちらです。駅に到着する2~3分前の自動放送作動時に開くドアの位置が光ります。

デッキにはこのように車内のご案内(車内設備案内)のシールが貼られており、化粧室・トイレ・自販機は両端の1号車と7号車に設置されております。

1号車の自動販売機の下になにかシールで隠してありますが・・・。これについては、後ほど解説します。

各デッキにはゴミ箱が設置されております。

客室内・座席について

次に客室内と座席を見ていきましょう。

デッキから客室内に入ったときの様子です。

グレー系の内装に青色の座席がズラリと並んでいます。

優等列車らしく天井にはカバー付きの蛍光灯が並んでおります。

デッキとの仕切り扉上部には案内表示用のLEDが装備されており、停車駅や車内設備の案内、西武鉄道関係の宣伝などが流れています。

こちらは座席の写真になります。(右の写真はリクライニングしたときのものです)

最終編成は当初から、その他の編成は車内更新工事のときにこの座席を採用しています。

座席形状はJR東日本のE257系に使われているものとほぼ同等のものになっています。(ただし、JR東日本のE257系にある座面スライド機構はありません)

座席のヘッドカバーはこのタイプの座席になった当初は水色のナイロン製のものを使用していましたが、後年になってコスト削減のためか、紙製のものに差し替えられました。(2015年ごろからと記憶)

個人的には、水色のヘッドカバーが似合っていたと思いますし、白色のヘッドカバーになってからチープさが目立ってしまったような気がします。

とはいえ、西武鉄道の特急料金は、他社に比べて安い類に入るのでそんなことを気にする必要はないのかもわかりませんがね・・・。

座席を向かい合わせにしたときの様子がこちらです。

窓枠のところに物が置けるような仕組みになっています。

窓の大きさは初代レッドアローの意匠をそのまま引き継いでいます。景色を楽しむにはもってこいのまどの大きさです。

座席後ろには折りたたみ式のテーブル、ドリンクホルダー、網ポケットが接されています。

さらに下にはフットレストバーが設置されています。フットレストバーは可動式となっており、上下に動かすことが可能です。

フットレストバーについては座席の前側にもついています。

折りたたみ式のテーブルには、西武の特急券チケットレスサービス「Smooz」の広告が貼られています。

折りたたみ式のテーブルを広げた様子がこちらです。

右上に飲み物がおけるスペース(くぼみ)があります。

新型特急Laviewに比べると少し大きめのテーブルになっています。

車端部にも申し訳程度ではありますが、固定式のテーブルがついています。座席を反対向きにしてかつリクライニングに支障しない程度の大きさになっています。

窓の窓の間にも申し訳程度ではありますが、固定式のテーブルがついています。これは、座席を向かい合わせにしたときに飲み物や小物などをおけるようにという配慮とも言えます。

カーテンを広げたものがこちらです。内装の仕様を統一するためか、淡い青色のカーテンが採用されています。

登場当初は通勤電車と同じロールカーテン(上から下げる方式。ただし、フリーストップタイプ)が採用されていましたが、2008年頃(うろ覚え)にすべて横引き式に改められました。

1号車には車椅子対応の座席があります。車椅子固定ベルトが設置されていることとフットレストバーがないこと以外は、他の座席と共通設計になっております。

客室内入り口仕切りドア上部にあるLED案内表示がこちらになります。基本的にスクロールで停車駅停車駅や車内設備の案内、西武鉄道関係の宣伝などが流れます。

LEDの上にトイレのピクトグラムがありますが、使用中に光るとかそういうのはありません。あくまで案内上のために設置されているだけです。

車内設備について

それでは、1号車と7号車に設置されている車内設備について見ていきましょう。

まずは、洗面台です。自動水栓と手動式の石鹸タンクが設置されています。平成時代のありふれた設備とも言えるでしょう。

洗面台左下には申し訳程度にゴミ箱が設置されております。これもある意味配慮して設置していると思います。

洗面台全景です。洗面台の上に物置と大きな鏡が設置されています。また、洗面台使用時に、プライバシーを保護できるようカーテンも設置されております。(鏡に写っている紺色のものがそれです)

洗面台の向かい側には自動販売機が設置されています。コカ・コーラの自販機で、通年冷たいソフトドリンクのみ販売しています。

先代のレッドアローの車内販売廃止の代わりに設置したものではありますが、今では自販機を設置している特急電車が珍しい存在になりつつありますね。

ちなみに、使えるのは現金のみです。ICカードは使えません。

洗面台の左横(自販機の向かい側)に飲み物用のゴミ箱が設置されています。デットスペースをうまく活用しているともいえるでしょう。

男性用トイレです。小便器と簡素な手洗い場が設置されています。

7号車に設置されている和式トイレです。

列車走行中も安心して使えるように手すりも各所に設置されております。

1号車に設置されている洋式トイレです。

車椅子対応のトイレにはなっていますが、Laviewみたく広いわけではないので車椅子の転回は困難です。車椅子から降りる必要があります。そのため、各所に手すりが設けられています。

1号車に設置されている洋式トイレには、緊急時に使用するSOSボタンが2箇所設置されています。

下には便座クリーナーとサニタリーボックスが設置されています。

入口側に手洗い場と小さな鏡が設置されています。

1号車に設置されている洋式トイレ横には謎のスペースがあります。

これは、昔テレホンカード式公衆電話が設置されていた場所で、蓋がしてある場所に電話機が設置されていました。

2008~2010年頃に電話機が撤去されたと思います。(うろ覚え)

よって、現在ではデットスペースと化してますが、もう少し有効に活用する方法はなかったんですかね・・・。

弐:その他のみどころ

10000系電車(NRA)のその他のみどころを見ていきたいと思います。

10000系電車(NRA)のロゴです。1・7号車のトイレがある部分にロゴマークがあります。

斜体字を使って疾走感を表現しているこのロゴは個人的に好きですね。将来引退し、このロゴマークを見ることができなくなると考えると少し寂しい気もします。

ロゴマークの上になにかボタンがありますが、これは前に述べた一部のドアのみ開く取扱を行っているときに、1号車のトイレ寄りのドアを開け閉めするために使われるものです。車椅子の方が乗降するときに使用します。

あと、10000系電車(NRA)トリビアとして・・・

トイレ部分にあるルーバーは、1個あるものと2個あるものが存在します。

ちなみに、ルーバーが1個のタイプが新宿線仕様、2個のタイプが池袋線仕様となっています。なぜ、そうなったのはよくわかりませんが、もし機会があればルーバーを観察するのもどうでしょうか。(しかし、マニア以外には興味ない案件)

今では、新宿線所属車両と池袋線所属車両同士で交換していることが多いので、新宿線仕様が池袋線で走ってたり、逆に池袋線仕様が新宿線を走ってるなんてのは日常茶飯事であります。

一昔前までは、よほどのことがない限りそれぞれの仕様車がそれぞれの路線を走るというのを統一してましたが、まあ何か理由があるのでしょう。

2011年11月頃より、「初代レッドアロー号」の塗装色に変更した「レッドアロークラシック」が池袋線(時折新宿線)を走っています。

なお、2011年11月27日(日)~2013年5月8日(水)の間、「レッドアロークラシック」には、車内座席のテーブル背面に昔の写真(1965年頃の西武線沿線の風景)を掲出していました。

レッドアロークラシックのみ、1・7号車のトイレがある部分のロゴマークが異なっています。

通常のNRAロゴとは違い、斜体文字を並べているだけのものではありますが、かえってそのほうがいいのかもしれません。

 

レッドアロークラシックと初代レッドアローの写真を並べてみました。

こうしてみると、10000系電車(NRA)は、初代レッドアロー(5000系電車)の完全なる後継車というのがおわかりいただけるかと思います。

灯具類の位置や車体が角ばっているか丸みを帯びているかなどに差異はあれど、10000系電車(NRA)の基本デザインは、初代レッドアロー(5000系電車)の意匠を引き継いだといっても差し支えがないでしょう。

こちらの写真は、とある年の西武鉄道のイベントで並ぶ初代レッドアロー(5000系電車)と10000系電車(NRA)です。

2016年12月頃より、「秩父祭の屋台行事と神楽」を含む「山・鉾・屋台行事」及び「川越氷川祭の山車行事」を含む「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを記念して、特急レッドアロー号に山車・笠鉾・屋台をデザインした「プラチナ・エクスプレス」が運行されています。

秩父ver.は池袋線を、川越ver.は新宿線を中心に運行されています。

こちらは、「カナヘイの小動物 ゆるっと小旅 西武鉄道で行く川越旅」キャンペーンにおいて、「カナヘイの小動物 ゆるっと小旅 西武鉄道で行く川越旅号」として期間限定で運行していたものです。

2018年12月から約1年間このラッピング電車で、新宿線を中心に運行されていました。

車体に施しているイラストは、今回のラッピング電車のために新たに描きおろしたもので、ピスケとうさぎの貴重な駅係員姿や、2匹が川越観光を楽しむ様子などをデザインしています。また、車内にもいろいろと装飾が施されていました。

ちなみに、早い方はもう気づかれているかと思いますが、この車両は仕様変更車(最終編成)が使用されています。愛称表示器と側面行先表示器がLEDなのですぐにわかりますね。

2月下旬に池袋線ラストラン仕様のヘッドマークステッカーが貼られた編成が運行され始めました。西武池袋線・秩父線の定期運用終了も刻々と迫っております。記録・乗車等はお早めにどうぞ!

※なおコロナウイルスによるイベント自粛要請等の影響で、クリアファイルの配布等はなくなってしまった(発表上では延期ですが果たして?)のが残念ですね。致し方なしですが。


ということで、今回は西武鉄道の特急「ニューレッドアロー(NRA)」につきまして紹介させていただきました。「ニューレッドアロー(NRA)」に乗る際は、ぜひこのページをチェックしていただきまして、秩父及び川越までの列車旅を快適に過ごしていただければこれ幸いです。


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