こんにちは。北陸の食パンです。
今回はかなり久々に船旅のすすめシリーズを展開していきたいと思います。
今回は船旅のすすめ第参弾ということで、駿河湾フェリーの富士を紹介したいと思います。
目次
壱:駿河湾フェリー概要
駿河湾フェリーは、株式会社エスパルスドリームフェリーが運航するフェリーで、静岡市の清水港~伊豆市の土肥港を結んでいます。
静岡市~西伊豆をショートカットでき、特にオンシーズンの伊豆はよく渋滞(三島・沼津はよく渋滞する)するため、渋滞回避する手段としても最適です。
もともとは、西伊豆フェリーとして田子の浦港~土肥港を結んでいましたが、2002年に航路変更し、現在に至っています。
かつては2隻体制で運航されてましたが、現在は「富士」のみの1隻体制となっております。そのため、毎年1月中旬~下旬にかけてドックのため運休となります。
2013年に、静岡県初の海上県道「県道223号 清水港土肥線」として認定(ただし、道路法上の整備や供用開始手続きは取られていないため未供用県道)され、観光振興施策がとられたものの、2018年5月25日、エスパルスドリームフェリーは2019年3月末日をもって駿河湾フェリー事業から撤退することを発表しました。
その一方で、駿河湾フェリー廃止をなんとか防ごうと関係自治体が動き、2018年8月に運航事業者側から県へフェリーおよび港湾設備の無償譲渡の申し出があり、翌月にとりあえずではあるものの、2019年4月以降も駿河湾フェリー運航を継続することが決定しました。
2019年4月以降は、事業主体は静岡県、運航業務は暫定的に現事業者である株式会社エスパルスドリームフェリーが担当することになります。
2019年1月現在、1日4往復運航(特定日はこの限りではない)されており、船上から富士山や夕陽(秋~翌年春にかけて)を眺めることができます。運がよければ、イルカの群れに遭遇することもあるらしいです。
シーズン的に混み合うのはGWや夏場ではありますが、富士山や夕陽を眺めることを目的にするのであれば、逆にオフシーズンである冬場がおすすめかと思います。その代わり海は若干荒れますけどね・・・。(湾内なので外海に比べれば荒れませんけども)
【通常時における駿河湾フェリーの時刻表】
(清水港→土肥港行)
清水港発 | 土肥港着 |
7:55 | 9:05 |
10:45 | 11:55 |
13:35 | 14:45 |
16:20 | 17:30 |
(土肥港→清水港行)
土肥港発 | 清水港着 |
9:20 | 10:30 |
12:10 | 13:20 |
15:00 | 16:10 |
17:45 | 18:45 |
※元日は1便目往復ともに運休(初日の出特別運航のため)、特定日は最終便往復ともに運休あり。(詳しくは公式HPにて)
弐:駿河湾フェリー「富士」について
これが駿河湾フェリーで運航されているフェリー「富士」です。2005年7月に就航したフェリーで、旅客定員522名、最大積載車両は大型バス13台+乗用車4台または乗用車54台となっております。
青と白に虹をあしらった塗装となっています。
一般客室(二等客室)
車両甲板の上の甲板に一般客室があります。基本的には椅子席が中心となっています。前向きの席と向かい合わせになっているグループ向けの席の2種類に分かれています。
一般客室内はほかに自動販売機や右舷側に船内売店などがあります。
こちらが一般客席の様子です。
この写真は、中ほどにあるグループ席仕様のところです。この写真の右側(衝立より向こう)には、船内売店と特別室に向かう階段があります。
椅子席はビニール張りのシートで色が3種類ありますが、座席自体は共通です。
一般客室の前寄りは、進行方向前方(船首向き)をむいている席になります。
前方にテレビが設置されています。客室の一番前にも窓はありますが、窓の外に船舶設備がある関係で眺望は実質ききません。前を眺めたいなら特別室を選びましょう。
座席を詳しく撮影するのを忘れましたが、前述の通りビニール色が違うので座席の形状自体はグループ向け席とさほど変わりません。ただし、グループ席にあるテーブルがない代わりに、一部の座席の頭部分にカバーがかかってたり、前の座席の背の裏側にドリンクホルダーが設置されています。
今度はグループ向けの席です。2~4人掛けの席が向かい合わせで設置されています。中央には大きなテーブルがあるのが特徴です。
4名グループ向けの席(2人掛けで向かい合ってる席)は大きな窓があり、土肥港行では富士山を眺めるのに、清水港行きでは夕陽を眺めるのに最適な席となっております。
船内売店横には12席だけのグループ向けの席もございます。大きい窓もついているので眺望向きでもあります。
ただし、土肥港行では富士山とは逆方向なので注意。夕陽を眺めるのならば当たり席ではあります。(なお、清水港行の場合は逆で、こちらが富士山向き、逆が夕陽向きに変わります)
客室入口の化粧室横の一角に申し訳程度ではありますが、桟敷席もあります。唯一完全に横になれるところですが、畳敷きなのでそこそこ硬いです。テレビも設置されています。
一般客室で唯一ここだけひざ掛けが常備されています。畳敷きに直に座るのがつらい方、横になって寝たい方は使うといいと思います。
最初ここにいましたけど、特別室のほうが快適だったので、後半は特別室に行きました。
特別室
駿河湾フェリー「富士」には、一般客室の上に特別室が設けられており、500円(子供は半額)を払うことで入ることができます。特別室のチケットは乗り場の窓口で買えるほか、船内の売店横(特別室に至る階段下)にある券売機でも買うことができます。
特別室とはいってますが、客室区分としてはこれでも二等客室なのだそうです。一等客室だとしたら倍の値段でもおかしくありませんからね。
船内売店横から階段を上がって自動ドアを開けると特別室があります。
定員は100名で、座席はリクライニングシートとソファーがあります。
その他設備は
- 化粧室(特別室後方)
- ゴミ箱
- エチケット袋
- ひざ掛け
- フットマッサージ機
- 特別室専用デッキ
などがあります。
そういえば、ひざ掛けがおいてあるところに何かがおいてありますが、詳しく見るのを忘れてしまいました。次乗った時の宿題で何があるか見てみたいと思います。はい。
特別室中央付近にU字型(というよりはJ字型というほうが正しいか)のソファー区画が4か所あります。グループ客向けのソファー区画ですね。
テーブルはソファー区画の中央と区画の入り口付近にサイドテーブルがあります。
あと、前方にあるリクライニングシート後ろ側にも進行方向前向き固定のソファーが設置されています。
写真撮ったのが、ちょうど冬至過ぎて1週間後という時期+急いで撮影したため奥のほうが飛んじゃってますがご容赦くださいませ。
ちなみに、乗船時の後半は特別室にいましたが、このソファー区画の一角に座ってました。
左右および前方の窓側に沿ってリクライニングシートが並んでいます。
特急型電車の座席でいえば、普通車の座席ではありますが、元は二等客室に+αなのでそれで十分なのかもしれません。少なくとも一般客室のビニール張りの座席よりかは快適だと思います。
土肥港行は、左舷側が富士山向きになり、右舷側が夕陽向きになります。清水港行の場合は逆になります。
特別室後方はL字型のソファー席があります。
こちらもグループ利用向きではあるものの、テーブルが3つあるので、少人数グループでも使えるところがうれしいですね。
空いていれば横になって寝るのもありかもしれません。人が多いときは横になると迷惑ですので控えましょう。
もう一つのL字ソファー区画です。ソファーの奥に見えるのは特別室の入口で、階段を降りれば一般客室へと至ります。
ここの区画だけ1人用の椅子(大きく動かせないように椅子の下と床が紐でつながれている)とフットマッサージ機(100円)が設置されています。
あとは申し訳程度に小型テレビがありますが・・・。あの場所に設置しても見づらいのではと思いますがね。
特別室の特典としてコーヒーおよびオリジナルクッキーのサービスがあります。コーヒーは一応1杯300円での販売ですから、それを考えれば特別室入室自体の課金は実質200円で済むようなものです。
ちなみにクッキーは船内売店でも販売しています。箱入りのセットで650円です。
富士山を眺めるなら直接デッキに出るのが一番ですが、快適に船内で過ごすなら特別室に課金するのも悪くないと思います。
ちなみに、特別室入り口には小さなカウンターがあり、ここで特別室利用特典のコーヒーおよびオリジナルクッキーのサービスを受けられます。
コーヒーメーカーの横にビールサーバーがありますので、別途料金ではありますがビールも注文できるものと思われます。
そして、特別室の後ろには専用デッキがあり、いくらかテーブルや椅子が設置されています。
柵の向こう側は一般客室側からしかアクセスできません。
夏の時期はここでビール片手に富士山や海を眺めるのも一興かもしれませんね。冬は寒いので、物好きな人がいない限りここにほとんど人はいませんが・・・。
後部デッキ・車両甲板
今度はデッキや車両甲板を覗いてみましょう。
車両甲板から階段を上ると一般客室に向かう間にデッキがあります。
後述に紹介する屋台で出ている食べ物を食べる用などに使えるテーブル・椅子の他、ごみ箱と喫煙所が設置されています。
ちなみに船内で喫煙できるのはこのデッキにある喫煙所付近だけです。
デッキには駿河湾フェリー名物(?)のたこ焼きも販売してます。メインのたこ焼き各種のほか、海鮮串や新商品の「ふじ見焼き」(県道223号の標識を模した六角形の大判焼き)も販売しています。「ふじ見焼き」については、夏季以外のシーズンに販売しています。(ちなみに、夏季期間中はかき氷を販売しています)
なお、月曜と水曜の最終便は営業してないので注意が必要です。
後部デッキには、特製の県道223号の標識が設置されています。2013年に静岡県初の海上県道「県道223号 清水港土肥線」として認定された際に設置されたものです。
従来の県道標識を意識してるのもあり、富士山と駿河湾フェリーが小さく描かれています。
こちらは右舷側になります。清水港行に乗った場合、富士山とこの県道標識を絡めて撮影することができます。
左舷側の県道標識は右舷側とデザインが異なっています。
こちらは上部に富士山をイメージし、下部に駿河湾フェリーをイメージしたデザインになっています。
ちなみに、土肥港行に乗った場合は富士山とこの県道標識を絡めて撮影することができます。
参考までに富士山と県道223号標識を絡めて撮影したものがこちらになります。
富士山単体で撮影する場合は県道223号標識を絡めずに撮影する方がいいかもしれません。
けれども、旅のワンシーンとしてぜひ富士山と県道223号標識を絡めて撮ってみてはいかがでしょうか?
こちらは車両甲板です。乗組員の車両誘導に従って車を停めた後、航行中は車輪止めを施します。
なお、航海中の車両甲板への立ち入りは法律により禁じられています。(写真は出航前に撮影)
その他設備など
今回写真撮影し忘れましたが・・・・
- 船内売店(フェリーズカフェ。アイスジェラート・飲み物・土産物など販売)
- 化粧室(一般客室内および特別室内にあり)
- 自動販売機(アルコール類もあり)
- エレベーター
があります。
次に乗船する機会があれば、そのへんの写真(船内売店周辺とかエレベーターに限る)を撮影してここに追加したいと思います。
参:実は東京からでも日帰りで気軽に乗れるフェリー
駿河湾フェリーは、静岡市の清水港~伊豆市の土肥港を結んでいるとあって、自動車航送のことを考えると、対中京・関西方面向けのイメージが強いですので、東京発着の方には縁がないとお思いかもしれません。
けれども、公共交通機関オンリーで移動するとなる場合においては、東京発着の場合でも日帰りで気軽に乗れるフェリーの一つに数えられます。
東京を朝に出発して、昼~夕方に駿河湾フェリーに乗ってから帰るというだけでも普段とは違った日帰り旅が楽しめます。
では、どのようにして東京発着かつ駿河湾フェリーに乗って日帰り旅をするのかこれから紹介していきます。
ルート的には・・・
東京→土肥港もしくは清水港→(駿河湾フェリー)→土肥港もしくは清水港→東京
という形になります。
問題は費用ですけれども、各々の交通機関の運賃を普通に払うとべらぼうにかかってしまいます。
そこで、駿河湾フェリーに絡む部分は、伊豆ドリームパスを利用することで大きく節約することができます。
日帰りするのであれば、一番安い富士見路ルート(2,800円)を使うのが一番です。富士見路ルートは、伊豆箱根鉄道と伊豆箱根バスの特定区間、東海バスの特定区間を利用できます。なお、富士見路ルートの料金に駿河湾フェリー片道分の料金が含まれていますので、それさえ購入してしまえばかなりお得に駿河湾フェリーに乗れます。
伊豆ドリームパスは、指定発売箇所にて当日購入できるほか、事前に旅行会社などでも購入可能です。
また、青春18きっぷ利用期間であれば、東京~三島・清水間の往復だけでも十分もとが取れます。1回につき2,370円ですから、往路・復路とも普通運賃払うよりもだいぶお得です。
すなわち、青春18きっぷと伊豆ドリームパス。富士見路ルートを併用することで5,170円で日帰りフェリー旅ができるわけです。
もっとも東京発着で一番気軽に乗れる日帰りフェリーは東京湾フェリーでありますけれども、景色的な点でいえば駿河湾フェリーのほうが勝るのではないかと思います。
ということで、今回は駿河湾フェリーの富士につきまして紹介させていただきました。駿河湾フェリーに乗る際は、ぜひこのページをチェックしていただきまして、快適な船旅を過ごしていただければこれ幸いです。